身代わり王女に花嫁教育、始めます!
リーンは背筋が寒くなった。

話には聞いていたが、毒蛇を見たのは初めてのこと。


「では……アリーどのが悪魔を呼び出し、魔物を使って一行を襲わせた訳では……」


リーンがゆっくりと振り返りながら尋ねる。

彼は呆れた様子で首を左右に振った。そしてリーンの体を自由にしつつ、


「愚かなことを……。いえ、失礼いたしました、王女様。しかし、王は私にとって腹違いの兄弟。しかも、水使いの神官として最高位にいるあの方と敵対するなど、愚か者の極みです」


彼は驚きの内容をサラリと口にしたのである。


(兄弟……では、アリーどのは王の異母弟?)


通常、兄が王位に就き、弟のほうが臣下になると、リーンはごく当たり前のように考えた。

クアルン王室の事情など王都の外に漏れるはずがないので、リーンが知らなくて当然だ。


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