身代わり王女に花嫁教育、始めます!
「それがどうしたと言うのだ?」

「なにっ!?」

「この女性はクアルン王が認めた花嫁。そしてバスィール大公が我が王に捧げた王女だ。王の言葉の前に、真実など無意味と知れ!」


アリーの言葉は強烈で、リーンだけでなくクライシュ族の男たちからも声を奪った。


(この人は、どれほどの忠心を王に捧げているの?)


驚くべきところは、それだけではない。王はすでに、すべてをご存じなのだ。

水使いとして、サクル以上の力を持つ王なら、当然かもしれない。すべてを承知で、王女の名を騙ったリーンの首を刎ねず、バスィールの王女としたまま花嫁に迎えようとしている。


アミーンとは王女と逃げた衛兵の名前だとリーンは思い出した。

彼が捕まった、あるいは殺されたのだとしたら……レイラー王女もクアルン王が捕らえられたに違いない。

もしそうなら、ひとり娘である王女を救うために、バスィール大公はリーンのことを。


(まさか!? 父がいないわたしを、王女と偽って嫁がせるつもりだとしたら……)


< 180 / 246 >

この作品をシェア

pagetop