身代わり王女に花嫁教育、始めます!
そのとき、大人の背丈ほどの高さからひとりの女性が突き落とされた。

その女性は地面に落ち、横たわるシャガールの近くまで転がる。


「お前たちとともに砂嵐に巻き上げられ、近くまで連れてこられた侍女だ。ひとりはすでに魔物の餌となったが、もうひとりも……」


カッハールはニヤニヤ笑いながら手を高く翳した。


刹那――洞窟の中に風が巻き起こる。

リーンやアリーは砂塵を避けるように手で顔を覆うが、クライシュ族の男たちは平然と立っていた。


「さあ、目覚めよ、シャガール! その偉大なる魔力を存分に使い果たせ!」


死体のように思えたシャガールがゆらりを体を起こした。四肢に力が漲り、その体躯はしだいに肥大化していく。

魔物と化したシャガールは目の前で震える女性に目を留め、今にも飛びかりそうな体勢をとった。


< 186 / 246 >

この作品をシェア

pagetop