身代わり王女に花嫁教育、始めます!
訳がわからないまま、リーンはハッとして、倒れこむ侍女のもとに駆け寄った。


「しっかりして! お願い、大丈夫だと言って……」

「……王女様……」


その声に聞き覚えがあった。リーンと同じ馬車に乗り、井戸やオアシスの呼び名を教えてくれた侍女。

リーンはたったひとりでも救えたことを神に感謝して、彼女の腕を支えた。


「怪我はない? 立てるかしら?」

「……はい」


侍女の声を掻き消すように、背後でシャガールの雄叫びがあがった。

振り向いたリーンの目に映ったのは、アリーに襲いかかるシャガールの姿。


(ああ……なんてこと。すぐに、侍女を連れてアリーどののもとに戻らなくては)


自分が離れてしまったために、今度はアリーが狙われたのだ。


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