身代わり王女に花嫁教育、始めます!
リーンは侍女に手を貸し、彼女を立たせると声をかけた。


「アリーどのをお助けしなくては……わたしから離れてはダメよ。必ず、生きてここから出ましょう」


侍女はリーンの腕に抱きついた。


「ええ、もちろん離しはいたしません。――“シーリーン”王女様」

「え? どうしてわたしの名前を……」


顔を上げた侍女の瞳を目にしたとき、リーンの呼吸が止まった。


「あ……赤い瞳……どうして」

「決まっております。生きて戻るためでございます」


口もとが歪み、赤く尖った舌が見え、侍女の体から伸びた触手がリーンの体を拘束し……。


「シーリーン王女!!」


遠くにアリーの叫び声が聞こえた瞬間、リーンの意識は闇に包まれた。


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