身代わり王女に花嫁教育、始めます!
『チッ! もう、嗅ぎつけてきやがった』
リーンに押し込む寸前、カッハールの口から全く別の声が聞こえた。
砂の下から風が吹いてくる。リーンの手に触れる砂がヒンヤリと冷たく感じ――そのときだった。彼女の全身が一瞬で水に包まれたのだ。
まるで背後からサクルに抱きしめられているような、不思議な感覚にリーンは囚われる。
だが、水が包み込むようにしているのはリーンの身体だけ。
周囲から大量の水が一斉に吹き上げられ、それは恐ろしい水圧で一気にテントを吹き飛ばしていた。カッハールもはるか上空に飛ばされて行く。
(な、何? いったい、何が起こってるの?)
目を開いたまま息を止め、事態を見つめていたリーンだが、やがて息苦しくなり……。
すると、今度はピタリと水が止まり、カッハールはテントと共に砂上に落下した。リーンを包む水もなくなり、彼女は慌てて大きく息をする。
「まさか、洞窟の中に涸れ谷があったとはな。おかげで日没近くまでかかってしまった」
後方から張りのある声が聞こえた。
それはリーンが心待ちにした声。ただし、怒りに満ちたサクルの声だった。
リーンに押し込む寸前、カッハールの口から全く別の声が聞こえた。
砂の下から風が吹いてくる。リーンの手に触れる砂がヒンヤリと冷たく感じ――そのときだった。彼女の全身が一瞬で水に包まれたのだ。
まるで背後からサクルに抱きしめられているような、不思議な感覚にリーンは囚われる。
だが、水が包み込むようにしているのはリーンの身体だけ。
周囲から大量の水が一斉に吹き上げられ、それは恐ろしい水圧で一気にテントを吹き飛ばしていた。カッハールもはるか上空に飛ばされて行く。
(な、何? いったい、何が起こってるの?)
目を開いたまま息を止め、事態を見つめていたリーンだが、やがて息苦しくなり……。
すると、今度はピタリと水が止まり、カッハールはテントと共に砂上に落下した。リーンを包む水もなくなり、彼女は慌てて大きく息をする。
「まさか、洞窟の中に涸れ谷があったとはな。おかげで日没近くまでかかってしまった」
後方から張りのある声が聞こえた。
それはリーンが心待ちにした声。ただし、怒りに満ちたサクルの声だった。