身代わり王女に花嫁教育、始めます!
「サ……クルさま……」


リーンは一糸まとわぬ身体を隠すように、首だけ声のする方向に向ける。

黒く大きな馬の手綱をつかみ、サクルは悠然と立つ。金色の髪が風になびき、彼の美麗さを際立たせた。


彼はリーンを一瞥し、


「あの悪魔はお前の肌に触れたのだな?」


夢の中のサクルとは違い、その瞳は黄金の輝きを放つ。

しかし、それは怒りに燃え立つ金色の炎のように見えた。


「あ……でも、奪われた訳では」


それだけはまだだと、サクルに伝えたかったが……。


「当然だ! 他の者がお前に踏み入る許可など、私は与えていない!」


その言葉の激しさに、リーンはビクッと身体を震わせた。

どこか冷たく、よそよそしく、感情を閉ざした部分のあるサクル。教育と称して、様々な場所でリーンの身体に触れ、その瞬間だけは愛と見紛うほどの情熱を見せてくれた。

そんな彼と目の前に立つサクルは、まるで別人だ。


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