身代わり王女に花嫁教育、始めます!
軽くかわすように剣を合わせた直後、カッハールの持つ重く分厚い刃は真っぷたつに裂けた。
「案ずるな。クライシュ族の族長はアミーンと定めた。貴様らは単なる反逆者だ。迷わず地獄に堕ちろ」
サクルの頬に嘲笑が浮かぶ。
次の瞬間、カッハールの首は胴体と離れ、砂漠の上に転がり落ちたのだった。
それはとても正視に耐える光景ではない。
リーンはギュッと目を閉じる。倒れそうなほど恐ろしいのに、意識を失うことができない。
たくさんのことが一度に起き過ぎて、リーンの神経は高ぶっているみたいだ。足もとをふらつかせながら、サクルに抱きつこうと近寄るが……。
「まだ、だ! 下がっておれ!」
サクルからは矢のように鋭い言葉が放たれた。
カッハールの遺体から飛び出した黒い影は中空で形を成す。それは浅黒い肌で赤い目をした若い男のようだった。
『さすがの狂王といえども空までは飛べまい』
「私をここまで怒らせて逃げられると思っているのか?」
『逃げられるさ。そうそう、いいことを聞いた。お前の花嫁が口にした“サクル”。どうやら狂王の真実の名らしいな。それを地獄の魔王や敵国に知られたら、さぞかし面白いことになるだろう』
「案ずるな。クライシュ族の族長はアミーンと定めた。貴様らは単なる反逆者だ。迷わず地獄に堕ちろ」
サクルの頬に嘲笑が浮かぶ。
次の瞬間、カッハールの首は胴体と離れ、砂漠の上に転がり落ちたのだった。
それはとても正視に耐える光景ではない。
リーンはギュッと目を閉じる。倒れそうなほど恐ろしいのに、意識を失うことができない。
たくさんのことが一度に起き過ぎて、リーンの神経は高ぶっているみたいだ。足もとをふらつかせながら、サクルに抱きつこうと近寄るが……。
「まだ、だ! 下がっておれ!」
サクルからは矢のように鋭い言葉が放たれた。
カッハールの遺体から飛び出した黒い影は中空で形を成す。それは浅黒い肌で赤い目をした若い男のようだった。
『さすがの狂王といえども空までは飛べまい』
「私をここまで怒らせて逃げられると思っているのか?」
『逃げられるさ。そうそう、いいことを聞いた。お前の花嫁が口にした“サクル”。どうやら狂王の真実の名らしいな。それを地獄の魔王や敵国に知られたら、さぞかし面白いことになるだろう』