身代わり王女に花嫁教育、始めます!
「あの……カリム・アリーどのはどうなったのでしょうか?」

「カリム・アリー?」


花嫁の口から異母兄の名前が出てサクルがムッとした瞬間、天空でシャーヒーンが鳴いた。

その声を聞き、一瞬で状況を察する。


サクルはコホンと咳払いをして、


「そういえば、そんな側近がいたな。そろそろ行ってやらねば、魔物に喰われてしまいそうらしい」

「サ、サクルさまっ! アリーどのはわたしを助けてくださいました。どうか……」

「わかっている。奴は私にとってもたったひとりの兄だ。見殺しにはできない」

「まあ! アリーどのから異母兄弟とお聞きしましたが、てっきりサクルさまがお兄さまだと思っておりました」


(カリムのほうが八歳も年長だぞ。いったい、私をいくつだと思っているんだ!)


サクルは胸にひとつの疑問を抱えつつ、洞窟内の涸れ谷に向かうふたりだった。


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