身代わり王女に花嫁教育、始めます!
「ご迷惑をおかけいたしました。お詫びの言葉もございません、陛下」


肩で息をしながら、傷だらけのアリーは地面にひれ伏した。

正確に言えば、アリーを救ったのはシャーヒーンだ。天井の隙間から飛び込んだシャーヒーンは、アリーを押さえ込む魔物に一撃を加え、彼を助け出した。

その直後にやって来たサクルが、魔物を一刀のもとに斬り捨て、シャガールは粉砕された。

一度、悪魔に利用された魂は器を残したままだと簡単に魔が入り込む。そのためにも亡骸は砂塵に紛れ込むほど粉々に砕かねばならない。


「悪魔を倒したときに、魔物もてっきり死体に戻ったと思っていました」


それはリーンの言葉だ。

サクルがのんびりしていたので、すでにアリーを助け出したあとだと思っていたらしい。


(さすがに、花嫁のことしか頭になかったとは言えんな……)


リーンの短い言葉から何かを察したのか、アリーは冷ややかに言う。


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