身代わり王女に花嫁教育、始めます!
しかし、レイラー王女の代わりまで務める羽目になるとは。


「ホマーさ……」


敬称を付けようとしてホマーにジロリと睨まれる。


リーンは咳払いして、


「ねえ、ホマー。わたくしが陛下とお会いしたことはありません……わよね? その、小さいころのことは忘れてしまって」

「はい王女様、そう聞いております。四年前に大公様がクアルン国王と会見なさいましたときも、お目にかかったのは大公様だけ、とのこと。――自信をお持ちくださいませ」


最後の言葉は口元に手を添え、ホマーはコソッと囁いた。


通されたテントは信じられないほど大きなものだ。

内部に敷き詰められた絨毯の質は、大公の宮殿と遜色ないように思う。

また華美を抑えながらも、テントそのものが贅を凝らした造りであることは、柱の一本一本に施された彫刻からもわかった。


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