身代わり王女に花嫁教育、始めます!
きょろきょろと見てしまいそうになるのを、リーンは必死で我慢した。

正面にメダリオン柄のタペストリーがかけられている。中心から放射線状に文様が広がる柄で、リーンはその前に座って待つよう、案内の兵士に言われた。

ホマーはリーンと同じ絨毯には乗れず、かなり後方でひれ伏している。


そのとき、幾重にも重なった薄い布が揺れた。扉代わりのカーテンが左右に開き、いよいよクアルン国王が現れる。


(ばれたら……この場で首を刎ねられるかもしれない!?)


リーンは身に纏った花嫁衣裳の袖をぎゅっと握りしめ、王の言葉を待った。


「バスィール公国大公のご息女、レイラー殿か?」


声は想像より若々しい。


「……」

「王女様、お返事を」


黙ったままのリーンにホマーが小さく声をかけた。


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