身代わり王女に花嫁教育、始めます!
「は、はい。さようにございます」


いささか裏返った声でリーンは答える。


「顔を上げよ」

「……はい……」


黒いマントは馬車から降りたときに脱ぐように言われた。

今のリーンは、薄い白絹で縫われたヴェールで髪と顔の一部を覆っている。


(王がレイラーさまの瞳の色をご存じないとよいのだけれど……)


びくびくしながら顔を上げ、リーンは息を飲んだ。


彼は――太陽の髪をしていた。

瞳も同じ色で、森に棲む野生の獣を思わせる。

白いマントの下に見えるのは素肌だろうか。砂漠の陽射しに焼けた、艶のある肌が垣間見え……リーンの鼓動は速くなった。


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