身代わり王女に花嫁教育、始めます!
その直後、自分の考えを慌てて打ち消す。


「い、いえ。あの……国王陛下はどちらでございましょう」

「ここより丸一日、南の方角にある砂漠の宮殿で王はお待ちだ。レイラー殿が砂漠の気候に馴染むよう、しばしこちらに滞在していただく。よろしいな」


王の側近というカリムは、その晴れやかな容貌とはうらはらに、寒々とした話し方をする男性だった。


リーンはできるだけ丁寧に尋ねてみるが、


「陛下のお心遣い、深く感謝いたします。できますれば、こちらのテントで過ごす時間をお教えいただきたく……」


思えばこれほど幸運なことはない。

国境兵が東の森にある大公の宮殿まで行き、大公がなんらかの手段を講じてくださるまで時間を稼ぐ必要があるのだ。


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