身代わり王女に花嫁教育、始めます！

バスィールの花嫁衣装でやって来たが、すぐに式を挙げる訳ではない。

実際の結婚式にはクアルンの花嫁衣裳に着て、砂漠のしきたりどおりに挙げるという。


そうでなければ、いくら公国のためとはいえ、純潔を王に捧げるつもりはなかった。


母は愛を全うすることの尊さを教えてくれた。リーンもすべてを捧げて尽くすのは、人生でたったひとり――愛する男性と決めている。


もし、大公への連絡が遅れたときは、リーンは自ら命を絶つ覚悟だった。


「すべて王がお決めになること。あなたが知る必要はない」


取り付く島もないほど厳しく言われ、リーンは声を失う。


「それから――後ろに控える侍女だが、砂漠の宮殿まで同行することは認めぬ。すぐにバスィールに帰すよう」

「お待ちください！　侍女はふたりまで付けてもよいと、陛下にお許しをいただきました！」