身代わり王女に花嫁教育、始めます!
「もうひとりはどうした?」


リーンは必死で打ち合わせた釈明を思い出す。


「砂漠の気候が合わなかったのでしょう。ふいの発熱で……。バスィール東部の森で育った娘でしたから。すぐに大公さ……父上にお願いいたしまして、代わりの侍女を手配させております。ですから」


ホマーがいなくなれば、リーンはひとりぼっちになる。

必死で言い募るが、


「レイラー殿の身の回りのことは、王の用意された侍女が務めることとなった」


そう言ってカリムは手招きする。


再びカーテンが揺れ、そこから入って来たのは透きとおるような白い髪をした女性。

彼女は、入国の際にリーン着せられたものと同じ黒いマントを羽織っていた。


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