身代わり王女に花嫁教育、始めます!
気づいたときにはカリムは背後に立っていた。

首筋に彼の吐息がかかり、リーンの背筋をゾクリとさせる。


『……ムハッラム、アル=ムハッラム……』


それは砂漠の民が精霊に語りかける言葉だと、リーンの母が口にした言葉に似ている。

だが、意味は全くわからない。


『サファル、ラビーウ・ル=アウワル、ラビーウッ=サーニー』


言葉の切れ目に、カリムはリーンの耳たぶを甘噛みした。


「やっ……あ、ん」


わき腹にカリムの両手がスッと触れ、彼の熱が体内に流れ込んだ。その瞬間、リーンの中で何かが波打つように暴れ始める。



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