身代わり王女に花嫁教育、始めます!
『ムハッラム、アル=ムハッラム、サファル、ラビーウ・ル=アウワル、ラビーウッ=サーニー……』
先ほどリーンの耳元で囁いた呪文を、もっとしっかりした声にして、大地に命じるように繰り返した。
小高い砂丘と砂丘の間、星の光がわずかにしか届かない一面薄茶色に見える砂の真ん中が、少しずつ黒くなっていく。
その黒いものがカリムの足元まで達し、それは少しずつ範囲を広げていった。
足の裏が冷たく感じる。
しだいにコポコポと音を立て、砂から気泡が出始めた。水が湧き出し、足全体を包み込み、やがてそれはふくらはぎにまで達する。
『……シャアバーン、ラマダーン、シャッワール、ズ・ル=カァダ、ズ・ル=ヒッジャ』
砂漠の部族の中から、水使いの巫女が生まれるという。
血統は関係なく、突然誕生するので巫女が生まれたとき、一族は隠すことに必死だ。なぜなら彼女らは精霊の声を聞き、願いを伝えることができる。
先ほどリーンの耳元で囁いた呪文を、もっとしっかりした声にして、大地に命じるように繰り返した。
小高い砂丘と砂丘の間、星の光がわずかにしか届かない一面薄茶色に見える砂の真ん中が、少しずつ黒くなっていく。
その黒いものがカリムの足元まで達し、それは少しずつ範囲を広げていった。
足の裏が冷たく感じる。
しだいにコポコポと音を立て、砂から気泡が出始めた。水が湧き出し、足全体を包み込み、やがてそれはふくらはぎにまで達する。
『……シャアバーン、ラマダーン、シャッワール、ズ・ル=カァダ、ズ・ル=ヒッジャ』
砂漠の部族の中から、水使いの巫女が生まれるという。
血統は関係なく、突然誕生するので巫女が生まれたとき、一族は隠すことに必死だ。なぜなら彼女らは精霊の声を聞き、願いを伝えることができる。