身代わり王女に花嫁教育、始めます!
そして宮殿で働く何人かの男性を指差し、


『あの者が神官に違いないわ』


と言っては、リーンに尋ねてくるよう迫った。


『そんなことできません、レイラーさま! 男性にわたしのような娘から声をかけるなんて。あとで侍女頭に叱られます』


そう言って断ると『お母様に言いつけるわよ』とリーンを脅すのだ。


リーンの母は生前、王女の母親である大公妃に酷く嫌われていた。見かねて、リーンは宮殿から出ようと母に言ったこともあるくらいだ。

でも母は『大公様にはお世話になったから』と最期まで仕えた。


そのころ、母はまだ元気だった。

そんな母に迷惑をかけたくなくて、リーンは何度となく王女の理不尽な命令に従い――大公妃に逆らえない侍女頭は、仕方なくリーンを叱りつけたのである。


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