身代わり王女に花嫁教育、始めます!
彼は美しい容姿をしていて、とっても意地悪で、王妃の名目で王のハーレムに入れられる小国の王女を蔑んでいる。

でも、王命を受け、あんな儀式を任されるからには、王の信頼は厚いのだろう。


リーンの肌に触れる指はとっても優しかった。

なんの経験もないリーンが、我を忘れて悦びに身をゆだねるくらいに。


カリムはリーンの味方になってはくれないだろうか?

大公と連絡を取り、王女の捜索とふたりが入れ替わる手助けをしてくれたら……。


そこまで考え、リーンは首をふった。


カリムが王に逆らい、そんなことをする理由がない。リーンが彼の容姿に目を奪われたように、彼の心をリーンが捉えたのなら別だが。リーンの容姿は人並みだ。

せめて、レイラー王女のようにアオシスを思わせる青い瞳をしていたら。

リーンは部屋の隅に用意された異国の鏡に顔を映す。そこには薄茶色の瞳が彼女を見つめ返していた。


そのとき、リーンが足を踏み入れた側のカーテンがふいに開き――。


< 71 / 246 >

この作品をシェア

pagetop