身代わり王女に花嫁教育、始めます!
(この人は……知ってるの? まさか……もしそうなら、わたしは生きてここにはいないわ)
リーンは懸命に自分の心を落ちつかせた。
「昨夜の……儀式で、わたくしの純潔は証明されたはずです。それを、花嫁教育なんて」
あまり色々聞かれたら、リーンがレイラー王女でないと気づかれてしまう。
思えば、カリムが味方になってくれたら、などと愚かな夢を見たものだ。こうして対面したら、リーンに好意を持っていないことなど明白なのに。
それに、もし大公の手配で入れ替われたとしても、事前にたくさんのことをリーンが聞いてしまったら王女が困るだろう。伝える時間などあるはずがないし、第一、できる限りクアルンの人間とは顔を合わせたくない。
今のところ、ハッキリとリーンの顔を見たのは、侍女のシャーヒーンとカリムだけだ。他の兵士たちにはなるべく瞳の色を見られぬように努めた。
このカリムをどうするのかは大公に任せるよりほかないが……。
「正直に申し上げただけだ。王女は純潔に違いないが、花嫁としての心構えが足りないようだ、と」
リーンは懸命に自分の心を落ちつかせた。
「昨夜の……儀式で、わたくしの純潔は証明されたはずです。それを、花嫁教育なんて」
あまり色々聞かれたら、リーンがレイラー王女でないと気づかれてしまう。
思えば、カリムが味方になってくれたら、などと愚かな夢を見たものだ。こうして対面したら、リーンに好意を持っていないことなど明白なのに。
それに、もし大公の手配で入れ替われたとしても、事前にたくさんのことをリーンが聞いてしまったら王女が困るだろう。伝える時間などあるはずがないし、第一、できる限りクアルンの人間とは顔を合わせたくない。
今のところ、ハッキリとリーンの顔を見たのは、侍女のシャーヒーンとカリムだけだ。他の兵士たちにはなるべく瞳の色を見られぬように努めた。
このカリムをどうするのかは大公に任せるよりほかないが……。
「正直に申し上げただけだ。王女は純潔に違いないが、花嫁としての心構えが足りないようだ、と」