身代わり王女に花嫁教育、始めます!
(昨夜だって、儀式を行っただけだし。結局は何もなかったんですもの。今夜だって……カリムがわたしに触れることなんてあり得ないわ)


暑さに耐えられない――と心の中で言い訳をしながら、リーンは薄い下着姿になった。


「背中はもういい。胸から腹にかけてを洗ってもらおうか」

「……はい……」


リーンがひざ立ちで横から手を伸ばそうとしたとき、その腕をカリムに掴まれた。


「そうじゃない。王の胸元を洗うときは、前から、だ」


ひざ立ちのまま、彼の正面に移動する。ひざがカリムの足に触れるほど近くに寄り、その胸板をゆっくりとこすった。

厚くて硬い肌をしている。

とくに腹部の筋肉は素手で触れたくなるほど芸術的だった。


「あの……次は」

「そのまま、手を下に」


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