好きでも。
好きでも。


高校を卒業し、県外に就職した私

職場先の同期で一番仲良くなった遊(ゆう)ちゃん

時々聞く、弟の昇(しょう)くんの話

「でさ~、あいつはね」

とっても仲のいい姉弟だなって、思った

性格というか、表情というか

遊ちゃんは豊かで面白いから

きっと遊ちゃんの家庭は楽しいんだろうなって

話を聞いているだけで簡単に想像ができた


でも、やっぱり出会いは突然で

「こいつが、うちの弟」

そう紹介されたのが、県外に出て最初のお正月が過ぎ、実家に帰れるくらい仕事が落ち着いた頃だったと思う

遊ちゃんに挨拶を促され、

「どうも、こんにちわ」

そう言って、不器用に頭を下げる昇くん

聞いていた話から想像していた人とあまりにもかけ離れていて、びっくりしたのは今でもなんとなく覚えている

それから、昇くんは遊ちゃんの寮と東京を行き来して暮らすようになっていた

...昇くんは、ニート

だから、家事が苦手な遊ちゃんの家政婦役をしている

綺麗好きな昇くんに比べ、だらだらな遊ちゃん

...まぁ、いい感じでバランスをとれているのだろう。






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