好きでも。
給料日前の10日前後
私たちにとって、一番お金のないとき
「うち、あいつに3日くらい食物与えてないなぁ」
いやいや、いくら居候だからって可哀そすぎるでしょ
自分は、従業員食堂でご飯食べれるからって、ダメっしょ
「まあ何とか生きてるから、大丈夫か」
「じゃあ、うちがなんか作るよ。食堂行かないで、いつも作ってるし」
「まじで!?あいつ、なんでも食うから喜ぶよ。」
ありがとうと遊ちゃんは手を振って、私たちは自分の持ち場に着くのだった
にしても...何を作ろう。
私はキッチンの前に立ち、考えた
材料は、休みだった昨日の内に買いだめしたから、たくさんある
だからと言って、張り切るのも...変だよなぁ。
何が食べたいんだろう
和食?洋食?中華?
...なんか、彼氏とか夫ができたみたいじゃね
自分、悩みすぎ
「よし!!」
私は気合を入れて、料理を始めた
ピーンポーン...
今は、遊ちゃんの部屋の前
出てくる気配は、全くない
つか、簡単に出てきちゃダメか。
本当は、私たちの寮は独身寮だから、自分以外の人を入れるためには許可が必要
その許可をとっていないため、不用意に出てこれないのだろう
...というか、出してもらえないのだろう。
ダメもとでドアノブに手をかけてみた
...ガチャ。
...開いちゃったよ、ばか
ゆっくり開けると、電気のついていない暗い部屋に、テレビの音だけが聞こえる