Loose-leaf*放課後の甘いキス
1*
「おはよー。」
「おはよ~。」
活気のないだらだらとしたあいさつが飛び交う中、誰にも見つからないようにと気配を消して席へと向かう。
ガタンッ
椅子をひき、重いかばんを机の上に下ろした。
「ふぅー。」
昨日のことは
きっと、夢。
たぶん、冗談。
本当のことなんかじゃ・・ないとおもう。
よくよく考えてみれば、あんなに派手で顔が整ってる一ノ瀬くんが、私なんかを本気に相手なんかしないもんね。
自分に言い聞かせるように深くうなづく。
だから・・昨日のことだって、もう忘れて―――…
―――ガララッ
乱暴な音とともに教室へ入ってきたのは、派手な男の子のグループ。
もちろん、その中には一ノ瀬くんもいるわけで
「うーっす」
「棗ぇ~昨日どこ行ってたのよ~!教室戻ったらすぐ帰ってくるって言ったじゃないっ」
「あー、悪ぃ悪ぃー。昨日ちょっとなー…。」
横流しのような目で、窓側の方に目を向けた。
わ・・私!?
ぱっちりと合う目。
だけれども、すぐにまたそらされてしまう。
…なわけないよね。
まだ少しだけどきどきと音を鳴らしている心臓。