Loose-leaf*放課後の甘いキス




「はい、じゃあこれだけぶんよろしくな。」



「・・え?」



にこにこと満面の笑顔で大量のプリントを差し出す先生に、何も言えなくなる。


「これから放課後は、残って作業してもらうからな。」



うそ・・

そっそんなぁ・・っ



放課後、毎日ルーズリーフに夏川くんへの想いを書き込みながら

窓の外で練習している、サッカー部の姿を見ることができなくなるの?

真っ青な私とは対照的に、つまらなさそうに口笛を吹きながらポケットに手をつっこんでいるあの人。




「谷口先生~。ちょっといいですか~?」

「はいー。じゃ、そういうことだからよろしくたのむぞ。」




肩に手をのせ、ぽんぽんっと軽くたたくとコピー室へ向かってしまった。

助けを求めるように後姿の先生を見つめるけれど、気づく気配はない。




どうしよう…

これから文化祭までの3週間

放課後の教室に、二人っきりなの?

文化祭の実行委員なんて、私には関係ないことだと思っていた。

下準備は地味だけれど、当日は全校生徒の前に立って話をしたりしなければいけない。



だから、力仕事承知で自分から進んで立候補する子も多いのだけれど・・





一ノ瀬くんのあの一言で、変わってしまったんだ―――・・













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