Loose-leaf*放課後の甘いキス



「絶対命令、だろ?」



「ぜっ・・!!」




ゼッタイ…メイレイ……




「俺はいいんだぜー?葉月が夏川のこと好きってばらしても。」

「!!!」




そ・・そんな!

こんなのって・・卑怯だよ・・!!



そう心の中で叫んでも、実際には言い返せない私。

カタカタと小刻みに震える右手を、一生懸命押さえる。

一ノ瀬くんはきっと・・人間のお面をかぶった、悪魔なんだ・・っ!

「はっ・・葉月?」

薄らと涙を浮かべ、何も言えず黙っていると

「えっ・・あっ ・・その・・」

心配そうに見つめる先生に何も言えないまま、また顔を俯かせた。




なんていえばいいの・・?

さっきまで元気よく手をあげていたクラスの女の子たちも、呆気にとられている。

誰か…誰かいない…の?



今にも零れ落ちそうな涙を浮かべながら、そっと周りを見渡した。

一つもあがらない、手。



「しゃーねぇな。」



ふーっとため息をつきながら

すっと立ち上がった。

スタスタと私の横を通り抜け、黒板の前に立つと

白いチョークを手にもって





葉月 夢愛




そう、黒板に殴り書きの字で書いたんだ。




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