Loose-leaf*放課後の甘いキス






「なーにしゃがみこんでんだよ。」

「!」




キス、してほしかったとか?





そんなわけ、ないよ

勘違いなんて、してほしくない


そんな気持ちなんて知る由もない一ノ瀬くんは

私の前に立ちはだかり、顔を覗き込んできた。

すでにもう、手にはホッチキスが握ってある。



「いっいちの…」

「さっさと終らせっぞ。」

「は・・い」




ガタンッと音を立てて椅子を引いた。




黄色の使い古したようなホッチキスを軽く投げられるけど、上手くキャッチできずに落としてしまった。




ゴトッ





鈍い音をたて、教室の床の上で軽く弾むホッチキス。

慌てて拾い上げ、一ノ瀬くんの方を向いた。






< 24 / 86 >

この作品をシェア

pagetop