Loose-leaf*放課後の甘いキス
「あっあの…!」
一ノ瀬くんのほうに近づき、震える手を押さえながら声をかける。
「…何?」
ちらっと横目で見ると、また目を閉じた。
「わっ私一人でやれるので…先に帰ってもらっても…
「いい」
あっさりかわされる勇気。
「えっ…でも・・っ」
「俺がやるって言ってんだよ。文句あんの?」
そういって大きな黒い瞳を覗かせると、ギロリと睨まれた。
「いっいえ・・」
そんなこと、ないです…
一人の方が、やりやすいんだけどな
そう思っても、言えるはずがない。
…やっぱり
優しい人かな、と思った私がおかしかったんだ
あんな人・・優しさの欠片もないじゃない
ふっと小さいため息をつき、静かに席についた。