Loose-leaf*放課後の甘いキス



「あっあの…!」




一ノ瀬くんのほうに近づき、震える手を押さえながら声をかける。



「…何?」




ちらっと横目で見ると、また目を閉じた。


「わっ私一人でやれるので…先に帰ってもらっても…

「いい」


あっさりかわされる勇気。


「えっ…でも・・っ」




「俺がやるって言ってんだよ。文句あんの?」




そういって大きな黒い瞳を覗かせると、ギロリと睨まれた。

「いっいえ・・」

そんなこと、ないです…





一人の方が、やりやすいんだけどな

そう思っても、言えるはずがない。

…やっぱり

優しい人かな、と思った私がおかしかったんだ

あんな人・・優しさの欠片もないじゃない

ふっと小さいため息をつき、静かに席についた。






< 25 / 86 >

この作品をシェア

pagetop