Loose-leaf*放課後の甘いキス
「えっ、俺?」
‘夏川‘
そのワードに、耳を傾けている自分がいる。
ぼーっと眠そうに窓の外を見ていた夏川くんに、そう問いかける栗色の髪を高く結い上げた女の子。
「そーそー」
「べつになんでも……?」
半分寝ぼけているのか、まだ半目状態で。
―――羨ましいな
私も、夏川くんに声をかけてみたい。
一度でいい
一度でいいから―――――
クラスの一員として
自然に、話してみたいんだ
「んじゃぁ、あれね!○○レンジャーのコスプレ~」
ケラケラと笑いながら指差す女の子に、驚きを隠せない様子。
「はっ!?」
「えーっとじゃあ、実行委員さーん。夏川の希望で、コスプレ喫茶で~!」
「ちょ、ちょっと!やめろって…!」
そんな儚い反論も完璧にスルーされ、いいタイミングでチャイムが鳴った。