首輪で繋がれたお姫様
出会い
トン…、トン…、トン…。
タッ、タッ、タッ、タッ、タッ。
ちょちょちょちょちょちょ、
「ちょっと待ってください!」
「ん?」
1メートル前にいる雅さんが振り向く。
「何?」
「あ…、歩くの速いです!」
「……ひなが遅ぇんだよ」
サラッと流され、雅さんはまた歩き出す。
なんやねん!
ちょっと待ってくれてもええやないですか!
タッ、タッ、タッ。
また小走りを始める私。
あれ…?
追い付いた…。
雅さんの足は、さっきよりも動きが遅い。
気になって見上げてみるけど雅さんはまっすぐ前だけを見てて…。
スピード、落としてくれてるんやろか…。
優しいな、雅さんて。
フフッと笑みがこぼれた時、見知らぬ声が後ろから聞こえた。