なみだのほし−Earth Tear Chlonicle−
あとひと月で成人する妹。だけど、ちっとも大人じゃない。どこでも裸足で走り回って、高いとこにもすぐ登るし、村の男の子連中ともケンカするし、ちょっとでもひとりでいると寂しくて甘えてくる、妹。
そんなレネが、自分の為に薬を煎じて、食事も作って、家の中のことをなんでもやってくれる。
この子を守るのが、自分の役目なのに。ごめんね、と思ってしまう。
どんなに苦しいときも、ユマはレネにごめんねと言った。
咳がひどくて胸が苦しいときは、心の中で。
ごめんね、ごめんね、あなたをひとりにしてしまうかもしれない。
守ってあげられなくなるかもしれない。
−レネが床についてから、ユマはひとり祭壇に祈った。
「…世界の四つ柱、天と地とを支え給う四兄弟、風の兄君・水の弟君・火の姉君・土の妹君よ。
あの子の為にあたしを生かして下さい。あの子を山の中で拾い連れ帰ったとき、あたしはお誓い申し上げました。
あたしの命は、あの子の為に。全ての力で、あの子を幸せにする、と。
…それともあたしはその役目を終えたのでしょうか?あの子を守るひとが、現れるのでしょうか?
あの子を、ひとりにしないでください。
自由なる風の兄君よ、あの子は貴方の子だけれど、ひとりでは走れない風なんです…」
幾億の星が、ヒトの世の営みを見下ろしている―