なみだのほし−Earth Tear Chlonicle−


「…レネは…?」

か細い声に、ディニははっと振り向いた。
ずっと眠っていたユマが、薄く目を開いている。

「ちょっと出てます。僕が留守番を頼まれました。」

笑顔を作って答えたら、弱々しい笑顔が返ってきた。

「ごめんなさいね、ディニ…あなたにまでこんな…」
「いいんです。ていうかレネひとりじゃ心配過ぎるから。」

ユマは悲しげに窓の外を見やった。
裏の炭焼き小屋と、その炭にする枝を拾いに森へ歩いた道。その先に、暮れかけた暗い茜色の丘。
道は丘を越え、青い山脈へと消えていく。

「…あたしは…きっとあの子のために在ったんだわ…」

「…ユマ?」

「運命なんてないって…この国の神様はいうけれど…あたしは、あたしの運命は、レネのためにあった…」

目を閉じて、ユマは微笑んでいた。
不安に思ったディニが側に寄ると、ユマは静かに彼を見た。
−小さな妹の、心優しい幼なじみ。できることならこの少年と、生きてほしいと思うけれど。

「ディニ、聞いてくれる?」

あなたが、何より心配してくれるあの子のこと。

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