なみだのほし−Earth Tear Chlonicle−
「−!!!」
そのときだった。
倒れた。太く張り出した木の根に足を取られた。
「キャア!!」
…勢い余って地面を何メートルか転げ落ち、木にぶつかって止まった。
捕まる−!
狼たちの足音が止まった。
嘲笑うかのように間をためて、獲物を包囲し始める。
身がすくんで立ち上がれない。
勢い余って転がったから、敵との距離は意外にあるが。
立った瞬間、殺戮の輪が閉じる。
追われていた子供な姿は、いつの間にか消えている。うまいことどこかで木に登ったのだろう。
…ああ、自分だけが死ぬのか。
こんな所で、ユマに何もしてあげられないまま。
否。これで、狼が村まで下りることはないだろうから、そうやってユマを助けられた。
−レネの前に、真っ黒い姿と白い牙が現れた…。