なみだのほし−Earth Tear Chlonicle−
…彼女の姉は、1年ほど前からちょくちょく身体を壊している。
レネの幼友達であるディニを頼って一度はこの施薬院に入院したが、レネが寂しがるからと回復半ばで家に戻ってしまった。
以来、ユマが寝込むとレネが薬を買いにやってくる。ここの薬はよく効くが、医者であるディニの父は、胸を患ったユマがそう長くは生きられないと知っていた。
はかりに向かいながら、ディニはレネを心配していた。
今、部屋の隅の椅子で膝を抱く小柄な少女。
ユマはずっと妹としてレネを育てて来たが、本当は血のつながりなどないことを村の者は皆知っている。
ユマの親は流れ者で、村から離れた丘で炭を焼いて暮らしを立てていた。
偏屈な両親に似ず明るくて気立てのよいユマは、15で両親を亡くしたものの、村人に好かれあまり苦労もしなかった。
そのユマがある日、見知らぬ小さな子供を連れて村に下りて来たのだ。