なみだのほし−Earth Tear Chlonicle−
◇
レネは、少し冷ました薬湯を湯呑みに注いで姉の枕元へ持って行った。
「ユマ、くすり。」
枕で半身起こしたユマは、妹の手から湯呑みを受け取った。
「ごめんね、レネ」
具合が悪くなると、ユマは何度もごめんねと言う。レネは、それがたまらなく嫌だ。
−レネは、ユマが病気になったときにちょっと世話をするだけだ。いつもはずっと、ユマが何でもしてくれる。
レネが物心ついた頃には、両親はもういなかった。育ててくれたのはユマだ。
いつだって世話を焼いてくれて、何でも教えてくれて、レネのために働いてくれた。
それなのに、ほんの少しレネがユマの看病をしただけで、ユマはごめんねと言う。
…レネが小さい頃、村へ炭や卵を売りに出掛けるときも言っていた。
レネの為に働きに行くのに、ごめんねと言う。
置いていって、ごめんね。
ひとりにして、ごめんね。
そっぽを向いてしまったレネの背を、ユマの優しい声がなでた。
「…レネ、ごめんね。」
二回目のごめんねを聞くなり、レネはベッドへ駆け寄った。
「嫌だ!ごめんなんて言わないで、ユマ、もう出かけないで!」
布団の上から、レネは小さい頃のようにユマのひざにしがみついた。
「レネ…」
「レネを、ひとりにしないで…」
ユマは、レネの涙を感じながら、まだ幼い妹の肩をなでた。
レネは、少し冷ました薬湯を湯呑みに注いで姉の枕元へ持って行った。
「ユマ、くすり。」
枕で半身起こしたユマは、妹の手から湯呑みを受け取った。
「ごめんね、レネ」
具合が悪くなると、ユマは何度もごめんねと言う。レネは、それがたまらなく嫌だ。
−レネは、ユマが病気になったときにちょっと世話をするだけだ。いつもはずっと、ユマが何でもしてくれる。
レネが物心ついた頃には、両親はもういなかった。育ててくれたのはユマだ。
いつだって世話を焼いてくれて、何でも教えてくれて、レネのために働いてくれた。
それなのに、ほんの少しレネがユマの看病をしただけで、ユマはごめんねと言う。
…レネが小さい頃、村へ炭や卵を売りに出掛けるときも言っていた。
レネの為に働きに行くのに、ごめんねと言う。
置いていって、ごめんね。
ひとりにして、ごめんね。
そっぽを向いてしまったレネの背を、ユマの優しい声がなでた。
「…レネ、ごめんね。」
二回目のごめんねを聞くなり、レネはベッドへ駆け寄った。
「嫌だ!ごめんなんて言わないで、ユマ、もう出かけないで!」
布団の上から、レネは小さい頃のようにユマのひざにしがみついた。
「レネ…」
「レネを、ひとりにしないで…」
ユマは、レネの涙を感じながら、まだ幼い妹の肩をなでた。