百鬼夜行と暴走族 壱
「よくそんなことが平気で!」
「十六夜を殺すためだ...愚かな女だ」
愚かな、女?
「......がう」
宵美?
俯いているせいでよく聞こえない
「違うっ十六夜さまは、ぼくが刺したこと知ってる!」
っ!
「だけどっ十六夜さまは死ぬ前にぼくを見て息を切らして、苦しそうに言ってくれた!」
『宵美...早く逃げなさい。皆が来たら駄目だから...早く行きなさい』
って力なく微笑んだんだ。その顔見て何が何だか分からなくなってそしたらまた、気を失って……次に気づいたのが今
「あんなに、っ強くて、優しい、ひとなんていない!」
涙を溢し、嗚咽を漏らしながら必死に伝えようとする
「そうだ、十六夜さん以上に優しいひとなんていない、愚かな女じゃない!」
俺だって十六夜さんが優しくて強いことを知ってる