百鬼夜行と暴走族 壱




その10年間俺は自分のことばかりでお母さんに気遣いの一言もかけられなかった


途方もない時間なのに...



「今までの長い時間は琉威とお母さんが分かりあうための時間だったんじゃないかな?」



「...長い時間?」




「そう。その時は意味のない、無駄な時間に思えても後になって時間が経てば、その間の時間も実は必要で大切なものとわかる」


「だって実際、琉威とお母さんは今まで悩んで必死にもがいてきたわけでしょ?でもこれがお互いに何も考えずにのうのうと生きていたって何の解決にもならない。答えを出そうにもお互いが考えてないから」



「どれだけ長い時間がかかっても結果、答えが導きだせたんならそれは...その時間は決して無駄じゃない、ってことなんじゃないのかな」



「だから今さらなんかじゃない、今答えがやっと出たの。お互いが話し合えば遅くない」



「家族の絆はかたい。些細なことで離れたりすれ違ったりするかもしれない。でもちゃんとした関係に戻るのはやっぱり家族、親子だからだと思うの」











< 288 / 330 >

この作品をシェア

pagetop