百鬼夜行と暴走族 壱


「おい、雷斗。十六夜さんを家に呼ぶからな」


「ああ、お袋は」


「直美も十六夜さんに会いたがってたからちょうどいい」


「はあ?お袋も知ってるのか」


「前にも言ったろ、会社や今の俺たちがあるのは十六夜さんのお陰だって。それにしても相変わらず綺麗だよな~…無事でよかった」


晋吾さんの声が聞こえたから隣を見ると十六夜さんの背中を優しそうな表情で見つめていた



「…お袋に言うぞ」


「何をだよ?」


「十六夜に見惚れてたってよ」


「駄目だ…怖いしな。つうか、呼び捨てやめろ!お前だって綺麗だと思うだろ!?あんな綺麗なひと、見惚れない方がおかしい」



晋吾さんはうんうんと頷き、雷斗はそれを苦笑いしていた。そしてあたしたちは去っていく十六夜さんの後ろ姿をずっと見つめていた





< 298 / 330 >

この作品をシェア

pagetop