百鬼夜行と暴走族 壱
「どうりで。一段と寒いからな」
「でも最近降ってないから嬉しい!」
「子供か」
「涼にだけは言われたくないもん!」
「んだと!?」
優希と涼が喧嘩を始めてしまい晴樹が止める。赤くなった鼻を袖ですりすりした琉威はあ、と声を出して寺を支えている太い柱に近付いて屈み、喧嘩に興味の無い雷斗は琉威についていった
「どうした?」
「これ…」
琉威が手にしたのは冬なのに小さく咲いていた桃色に光る花。優希たちも喧嘩が終わり琉威の持っている花に興味を示した
「あ、確か、この花って…」
「女神が前に見せてくれたやつか?」
「再想花、だったかな…」
しばらく花を見つめていたが花が突然発光して辺りは不思議な空間に包まれた
というよりは、琉威たちの居るこの場所の景色が変わった
雪は降り始めたばかりなのに花が発光した直後雪は辺り一面に降り積もり、夜だったはずなのに少しだけ明るくなっていた