百鬼夜行と暴走族 壱



俯いていて白銀の長髪で十六夜の表情は見えずガクン、と降り積もった雪に両膝をついて倒れていき横向きに身を縮こませて蹲った



「十六夜さんっ」


「やっぱりな……」


雷斗の呟きが聞こえた皆は恐怖から身体が動かなかったが声は出せた


「十六夜さん、宵美に刺されたって言ってただろ。だからこれは、……十六夜さんが居なくなる原因になった12年前の事件だ」



「も、もう見たくないっ」



目をぎゅっと瞑って声は聞こえないはずなのに耳を両手で覆って泣き始めた優希を晴樹も苦しそうに抱き締めた



意識を取り戻したのか宵美は十六夜の血がべっとりと付着している刀を捨てて、十六夜に駆け寄った。十六夜は息も絶え絶えに何とか言葉を紡ぎ微笑んだが次の瞬間には目を閉じて動かなくなった









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