百鬼夜行と暴走族 壱
だがだんだんと十六夜の意識が薄れてくると同時に終わった再想花の映像。辺りは現在に戻り花は消滅した
「十六夜さん、この後…」
「確か、人間のじいちゃんに助けられたんだよな…」
十六夜は今、生きて帰って来た。だからあの後は知らなくてもいい。知っても意味が無い
映像を見ているときは不安で辛くて、悲しくて……でも今は何故かは分からないが安心している
「何か、十六夜さんに会いたい…」
ぽつり、と呟いた琉威に笑って頷いた皆は急いでバイクに跨がり、本家へと向かう
あの笑顔を見てもっと安心したい
鳥居の前に停めて、本家への石段を駆け上がる。十六夜が門の前で待っていてくれる気がする
息を切らせながら最後の一段を上がりきった先、門の前で微笑んでいる姿
「――いらっしゃい」