百鬼夜行と暴走族 壱
「晋吾さん?」
「親父、どうしたってんだよ」
...こんな姿みたことねぇ、どうかしたのか?
「あの、十六夜さんが死ぬことはねぇ、」
俺たちは事情を知っている。でも今は何も言えねぇ、翔炎たちって存在を言う訳には…
「...なんでそう思うんだ?」
「強ぇんだよ...あり得ねえくらいにな」
そう言って顔をあげた親父は未だに信じられない、という表情だった。ずっと放心したような感じで天井を見つめている
...それなら翔炎とかいう妖怪たちから聞いている
「昔お前たちと同じくらいのガキだった頃、現役の頃に一度だけやりあったことがあってな。 」
そう語っている親父は
「妖怪は拳と拳なんて遊び、甘いことはしないんだがな。俺の茶番につきあってくれた。だがその拳と拳のケンカで、負けちまった。」
「しかも息一つ乱れず、やりあってる途中だってのに、笑みまで浮かべてた。」
懐かしそうに目を細め、
「結局、俺の完敗ってわけだ」
楽しそうだった