TIME MACHINE
テラスのドアのカギを開けようとすると、カチャンとドアが開く音がした。
…、あれ?
すっかり今までのことを忘れていた私は、ふと我にかえる。
そういえば、私変な男に会ったんだった…。
頭の中にやつの姿が写しだされると同時に、短めの廊下の向こうから現れたのはまさにあの変人だった。
「あ、ただいま」
「ただいまじゃねーよ」
あ。
やつの能天気さに思わず汚い言葉を使ってしまった。
…まあ、いいか。あとで警察に電話しよう。
私はさっき、サイドテーブルのうえにあった自分のケータイを見たのだ。
なるべくこいつの言う通りにして、すきを見て逃げ出そう。
自分でもなかなか賢い案に笑いそうになったがこらえて、変人を改めて直視した。