恋愛、友情。ときどき涙。


「……ダメだった?」

「そ、そうじゃなくて……男の子にメアドとか教えたことあんまりないから……」


ちょっとビックリしちゃって……。


「空のとか知らねぇの?」

「知らない……」

「もしかして……男のメアド知らない?」

「お父さんと従兄弟のユウくんなら……」


同い年のユウくん。

背が高くてモデルさんみたいなの。


「じゃあ、親戚以外では俺が初ってことか」

「う、うん……」

「ははっ!何か嬉しいかも」


ニコニコ笑いながらそう言う杉山君。

な、なんか緊張する……。


「はい」

「えっと……杉山……」

「海斗」

「海斗……できた!」


杉山海斗。

電話帳に登録された初めての親戚以外の男の子。


「何かストレス溜まったら連絡するわ。
沢木もいつでも連絡してくれていいから」

「う、うん……ありがとう!」


杉山君はゆっくりと立ち上がり、ズボンについた汚れを払った。


「戻るの?」

「そろそろ授業終わるし。
小倉にどやされる前に帰らねぇと」

「先生じゃなくて?」

「先生より小倉の方が怖い」


そう笑って言い、杉山君は軽く片手をあげて屋上から出ていった。


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