恋愛、友情。ときどき涙。


あたしがちょっと不貞腐れると、頭の上にポンッと手が乗っかった。


「お前は今のままが一番いいんだから、無理しようとすんな」


まっすぐあたしの目を見てそう言う海斗……。

か……海斗が……海斗が……


「海斗が……褒めた……」

「俺だって褒めるって」

「滅多に褒めないじゃん……。
うわぁ……嬉しい!!」


あたしはギュッと海斗の腕に抱きついた。


「だーかーら、そういうことすると誤解されるんだって」

「昔からよくやってるじゃん」

「あのなぁ…………もういいや」


海斗はスッとあたしの手から腕を抜くと、持っていたカバンを逆の肩にかけて、邪魔にならないようにしてくれた。


「さりげなく優しいよね」

「さりげなくは余計だっつーの」


あたし達はいつものように話ながら家へと帰っていった。


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