恋愛、友情。ときどき涙。


杉山君は少し不機嫌そうに階段を下りてきて、私の横に並んだ。


「海斗、何そんなに怒ってんの?」

「……別に怒ってないっすよ」


え……怒ってるよね?

怒ってないって言いながら結城先輩のこと凄く睨んでるよね……?


「す、杉山君……せっかくだから三人でいれば……」


私がそう言うと、杉山君はフッと睨むのを止めた。


「……いや。
俺……保健室行ってくるわ」

「え?」


せっかくのチャンスだろ?と杉山君が私にしか聞こえない声で囁いた。


チャンス……。


でも、結城先輩と二人きりになったからって……どうしようもできないよ。


ただ緊張して上手く話せなくて……。

先輩から音ちゃんの話が出たら嫉妬して……。


授業をサボってまで……辛い思いはしたくないよ……。


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