恋愛、友情。ときどき涙。


「確かに亜沙美に比べたら頼りないかもしれないけど……でも、あたし……」

「違うの!
音ちゃんが頼りないとか……そういうんじゃなくて……」

「ならどうしてっ……!!」


言えない……。

言えないよ……。


ここには結城先輩もいるし……

……何より、音ちゃんの悲しそうな顔は見たくない。


私はギュッと目を瞑ってうつむいた……。

これ以上……音ちゃんを見てられなかった。


「音羽。
誰にでも言いたくないことの一つや二つぐらいあるだろ」


頭上で杉山君の声が聞こえる……。


「でもっ……納得いかない。
だって……亜沙美には話してるじゃん……」


音ちゃんの声が少し震えてるのが分かった……。

顔は見えないけど……泣きそうなのは分かる……。


「音羽を傷つけたくなかった。
だから言えなかったんだろ」

「たとえそうだとしても……何も言ってくれない方が……傷つくよ……」


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