恋愛、友情。ときどき涙。


……言わない方がいいと思ってた。

そしたら音ちゃんを傷つけることもないって。


でも……言わなくても音ちゃんを傷つけてしまった……。


……どうしたらいいの?

私は……どうしたらよかったの……?


頭上で聞こえる杉山君と音ちゃんの声……。

そんな二人を宥めるような結城先輩の声……。


「……海斗は、知ってたの?」

「え?」

「綾乃が何に悩んでるか、知ってたんでしょ……?」

「……そうだけど」


見えなくても……分かった。

音ちゃん……泣いてる。

涙を流してる……。


目を開けたかった。

でも……開けられなかった。


声を聞いてるだけで精一杯だった……。


< 171 / 220 >

この作品をシェア

pagetop