恋愛、友情。ときどき涙。
「音羽と海斗って……すげぇいいと思う」
「え……?」
「俺、あんなに自分のこと理解してくれる人いねぇから」
「……そう言われると、嬉しいです」
あたしは景色の方を見ながらにっこり笑った。
「悔しいけど……海斗以上に音羽のこと理解するなんて、俺には無理だと思う」
「先輩?」
「……ずっと思ってた。
海斗が羨ましいって。
……でも、アイツもアイツなりにすげぇいろいろ悩んでたんだなって……今日ようやく分かった」
先輩はあたしの頭から手を下ろすと、体ごとあたしの方を向いた。
真剣な先輩にあたしもつられるように真剣な顔になった。
「俺も俺なりに音羽のこと見てきたつもりだよ。
去年から……ずっと」
「…………………」
「音羽のことはよく考えてみたらそんなに知らないし、海斗に比べたら全然だと思う」
「先……輩?」
先輩は優しくあたしに微笑みかけた。